にんぎょひめ
むかしむかし あるところに
たいへんふこうなしょうじょと しょうねんがおりました
そのときはききんにより おおぜいのひとがしんでしまいました
あるひ しょうじょとしょうねんは くちへらしのためうみへとすてられてしまいます
おなかがすいていて そのうえうみはおおあらし
とてもおよいでりくへあがることは できそうにありません
そこでしょうじょは このききんやうみのあらしをおこしているあくまにはなしかけました
「どうしてこんなにひどいことをするの?」
あくまたちはそれぞれこたえました
「とてもたのしいからさ たべものがなくなれば ひとはちのつながったかぞくでも へいきでころす」
「おまえたちをうみのえいようにするためさ そうでなくてはいまごろここは にんげんのしたいだらけだ」
つぎにしょうじょはこうききました
「じゃあ どうすればひとはなかよくしていけるの?」
あくまたちはまた それぞれにこたえました
「それはむりだ にんげんはいきのこったものがつよいとおもいこむ」
「それはむりだ しかしおまえがただしいことをすれば わるさをするのはやめてやろう」
しょうじょはこたえました 「それはなあに?」
あらしのあくまはしょうねんをゆびさしいいました
「あいつをいますぐころしてりくへあげるのだ そうすればわたしのすることはなくなる」
するとききんのあくまもいいました
「あいつをおまえがころせば おれがききんをおこさなくてもとてもたのしいものがみれる」
しょうじょはなやみました たったいちどだけじぶんがしょうねんをころせば
たくさんのひとがたすかるでしょう ですがそのためには しょうじょがこれいじょうのふこうになるしかありません
それにあいてはあくまです やくそくをまもるとはとてもおもえませんでしたが
けっきょくは このままあらしのうみにいてはしょうじょもしょうねんも おぼれしんでしまうだけです
ですからしょうじょは しょうねんよりすこしだけおそくしぬことにしました
しょうじょはしょうねんのくびをしめ ちっそくしさせてききんのあくまのいったことをきいたあと
あらしのあくまのいったことをかなえるために しんだしょうねんをかかえてりくへひっしでおよぎました
しょうじょがりくにつくころには あらしはすっかりきえており あらしのあめでさくもつはほうさくになりました
あくまのいったただしいことをしたしょうじょは むらをでてうみべにすむようになりましたが
しょうじょをすてたむらのひとにきみわるがられ さいごにはころされてしまいました